金 田 校 長 - 御 寄 稿
         【 淡交会 会報88号より 】       最終更新日: 2022/05/18   
校長 金田 裕治
 令和三年度では、両国高等
学校創立百二十周年・附属中
学校創立十五周年記念事業に
御理解・御協力をいただき誠
にありがとうございました。
記念式典は、新型コロナウイ
ルス感染症の緊急事態宣言下
のため、残念ながら中止とな
りましたが、記念誌の発行や
寄贈いただいたグランドピア
ノの記念コンサートをリモー
トではありますが開催できた
ことに、淡交会並びに卒業生
の皆様に深くお礼を申し上げ
ます。
◆大学入試制度改革
 令和二年度・三年度と新型
コロナウイルス感染症の対策
に追われている中でも教育を
取り巻く環境は変化しています。
 大学入試においては、昭和
五十四年度から平成元年度ま
で実施された国公立大学を対
象とした共通第一次学力試験
に代えて、平成二年度から国
公私立大学を対象として大学
入試センター試験を実施して
きました。その大学入試セン
ター試験もコロナ禍の令和三
年度大学入学者選抜からは、
「大学入学共通テスト」(以
下、共通テスト)が実施され
ています。
 今春卒業の百十九期生は、
二回目の共通テストを受験し
ましたが、数学の全国平均が
下がる中、全ての教科・科目
で全国平均を上回ることかで
き、生徒一人一人の進路実現
につなげることができました。
◆新しい教育課程
 この共通テストの導人と同
じ時期に学習指導要領が改訂
され、新しい教育課程が中学
校は令和三年度より、高校は
令和四年度より実施され、教
育内容が大きく変わっていま
す。
 これまでの各教科・科目で
単に知識を学ぶことが中心の
学習から、生徒が各教科・科
目等の特質に応じた見方・考
え方を働かせながら、知識を
相互に関連付けてより深く理
解したり、情報を精査して考
えを形成したり、問題を見出
して解決策を考えたり、思い
や考えを基に創造したりする
ことに向かう過程を重視した
学習へ転換が図られています。
◆知識偏重から「深い学び」へ
 各教科・科目の内容も人き
く改訂され、たとえば、これ
まで日本史や世界史のように、
それぞれ独立した科目でした
が、新しいカリキュラムでは、
全ての生徒が学習する科目と
して「歴史総合」が設定され
ました。この科目は、歴史の
大きな変化に着目し、世界と
その中の日本を広く相互的な
視野から捉える内容となって
います。このように、単に歴
史の知識だけでなく、日本や
世界の国々を包括する国際的
な「深い学び」の教育へ転換
しようとしていることが分か
ります。
◆文法より使える力を育む英語
 特に、英語では、「聞く」
「読む」「話す」「書く」とい
う四点のスキルの必要性が高
まっており、英語における大
学入試も変化しています。
 新しい学習指導要領をふま
え、読んだ英文の内容をかみ
砕いて人に伝えたり、自分の
主張や意見を英語で衣現した
りする要素が多く採り入れら
れています。
 新しい教科書では、SNS
のコメントでの議論をもとに
自動運転の是非を考えさせた
り、四コママンガ風のイラス
トを見て自分でストーリーを
創作させたりする内容を取り
入れている教科書もあります。
このように教科書の内容から
も実践のなかで使える英語を
重視していることが分かりま
す。これは、共通テストで資
料を読み解く問題が増えたこ
とから、教科書の内容も変化
しています。
◆教育改革に対応した教育
 このような変化の中でも両
国では、早い時期から共通テ
ストや新しい学習指導要領に
対応した教育を実践しています。
 附属中学校の英語の授業で
は、英諸によるプレゼンテー
ションを実践したり、国語で
は、ディベートによる言語活
動を充火させたりするなど、
これからの新しい教育に対応
した教育内容や指導方法に取
り組んでいます。
 その成果として、今春卒業
した百十九期生の多くの生徒
が希望する難関国公立大学や
医学部医学科に合格し、進路
実現を果たしました。
 これからも両国は、教職員
が一丸となって、時代や教育
の変化に対応しながらも、両
国生にとって最善の教育を実
現する努力を続けてまいります。
【 令和3年12月 校長 御寄稿 】