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人類のサバイバルをかけた画期的な二つの国際的合意、すなわち、「持続可能な開発目標(SDGs)」と「パリ協定」
が、ともに2015年に成立したことから、この年は、文明のベクトルが変わった年と言われています。
「淡交会報78号」(2017年5月発行)で、岡田宗久委員長が、SDGsに関する企業の取り組み事例などを報告しましたが、
今回は、その後の動静等を改めて紹介します。
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1. |
「持続可能な開発目標(SDGs)」(Sustainable Development Goals)は、人類の持続可能性を目指して
取り組む国際的な優先課題で、2015年9月、国連総会で、満場一致で採択されました。
2015年〜2030年の間に取り組むべき17の目標(Goals)と、169の達成基準(Targets)を規定しています。
17の目標は、@貧困をなくそう、A飢餓をゼロに、…、L気候変動に対策を、等々、人類のサステナビリティに関わる
重要課題ばかりです。
日本では、2016年5月、内閣に「SDGs推進本部」が設置され、「誰一人取り残さない」というビジョンのもとに、
8つの優先課題を決めて、取り組みが始められました。
そして、2017年12月には、「SDGsアクションプラン2018」が、公表されました。
先進的企業は、これを経営上のリスクやビジネス機会と捉え、いち早くSDGs経営に取り組み始めています。
小生の属する「NPO法人環境経営学会」でも、企業を対象に実施している「サステイナブル経営診断」の項目に
SDGsを取り入れ、「経営診断」を通じて、企業の取り組みを直接支援するほか、シンポジウム等を開催して
普及・啓発を図っています。
しかし、社会の理解や浸透は中々進まないのが現状です。
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2. |
「パリ協定」(Paris Agreement)は、2015年12月、国連気候変動枠組条約 第21回締約国会議(COP21)において、
全196ヵ国が参加して採択された、法的拘束力を持つ国際条約で、脱炭素社会に向けた、世界共通の目標です。
採択から11ヶ月という異例の速さで、2016年11月に発効しました。
これは、一刻の猶予も許されないという、世界の気候変動に対する危機感の表れです。
日本は、これに後れを取ったことは衆知の事実です。
パリ協定のポイントは、次の通りです。
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@ | 脱炭素を目指す明確な長期目標 (気温上昇を2℃以下に抑制、1.5℃の努力目標。今世紀中に「排出実質ゼロ」。「脱炭素化」)
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A | 5年サイクルの目標引き上げメカニズム
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B | 排出削減だけでなく、温暖化の悪影響への適応、資金などの支援策も定める
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この歴史的協定を2020年から具体的な行動に移すために、現在、詳細なルール作りが進められています。
なお、トランプ米国大統領が、パリ協定からの離脱を表明しましたが、これに反対する世界中の動きもあり、
パリ協定が、人類の持続可能性に関わる世界共通目標であることに揺るぎはありません。
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私たちは、気候変動による地球温暖化の進行や、異常気象による災害の多発を目の当たりにして、
SDGsやパリ協定の掲げる人類共通の目標達成に向けて、自らの課題として、真剣に取り組んでいかなければなりません。
環境経営学会でも、進行する地球温暖化による悪影響に対して、いかに適応していくかにも目を向け、「提言」の発信や、
シンポジウムを開催しています。
淡交会としても、環境委員会が中心になって、「環境セミナー」や両国祭の「淡交会展示」の場で、行動を起こすことを
繰り返し呼びかけています。
今後とも、仲間と共に、持続可能な社会形成に向けて、微力ながら貢献していきたいと思っています。
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環境委員 中村 晴永(55回)
(淡交会報第80号より転載)
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委員会報告、セミナー報告の一覧は、こちら
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