2010年10月、名古屋において、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が、開催されました。
COP10では、本会議と平行して、国、地方自治体、市民団体、民間企業などによる「生物多様性交流フェア」が、
同時開催されました。
交流フェアは、一般の人々が生物多様性の考え方に触れ、国際事業に参画できる場として企画され、江東区でも、
同年6月、区内で、環境保全活動に携わる10団体を中心としたメンバーが集まり、企業の協賛や行政の後援を得て、
「生物多様性チーム江東」を結成し、ブースを出展することができました。
出展されたブースの中でも、様々な主体が協働体を組んだ事例は珍しく、多くの来場者の目に留まりました。
また、埋立地が土地の半分近くを占め、震災や戦災という歴史を経た江東区の土地で、みどりを育み、市民、事業者、
行政が一体となって、今日の緑地環境を形成してきた歴史を発信するとともに、他の国や地域の情報も得ることができました。
翌年、チーム江東は、「東京都新しい公共支援事業」助成金を得て、下町に「ネイチャーパーク」を
実現するためのソフト事業を、2ヵ年にわたり実施しました。
この事業では、区内にある都市計画公園予定地を具体的な場所として設定し、
「身近な公園において、生物多様性豊かな空間を、行政だけでなく市民団体、企業、学識経験者などが協働し、
地域主体で作り上げながら、それらをネットワークさせることで、地域の子どもたちを育てる場として
活用していくための仕組みづくり」
に取り組みました。
助成金の募集要件であった「マルチステークホルダー・プロセス」とは、「多様な担い手が協働して自らの地域の
課題解決に当たる仕組み」を意味しますが、これまで「協働」というキーワードに基づいて、様々な活動を行ってきた中で、
それぞれの主体の役割分担や得意分野を再確認する良い機会となりました。
公園だけでなく、今後のコミュニティ運営において大事な考え方であることをメンバー全員で共有しました。
幸い、グリーンインフラとして、1988年からのビオトープ整備により、公園、河川敷、小学校、幼稚園などに
50か所、約3haの自然再生地が存在し、まちなかの生物多様性の拠点として機能し始めています。
そこでは、自然観察会や環境調査、保全作業など、多様な形態をした市民とみどりの関わり方が、
すでに動いています。
東京の東部低地に固有の自然を再生するとともに、ビジターセンターを持つ環境学習施設や
ローカルな自然史博物館の整備、それらに関わる地域の様々な年代や立場の人々との協働。
これらを有機的に繋げることで、生物多様性「下町モデル」として世界に発信できる!といつも夢見て活動しています。
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