(スマホ) 作成日:2014/11/28 by HA
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「 都 市 に お け る 生 物 多 様 性 戦 略 」 |
日 時: | 平成26年11月22日(土) 15:30〜17:30 | |
場 所: | 東京環境工科専門学校 | |
主 催: | 淡交会 | |
講 演: | 「都市における生物多様性戦略」 幸丸政明(60回) |
1. | 自己紹介 http://www.tce.ac.jp/html/about/index.html | |
環境庁発足2年後に入庁し、環境庁の自然環境保全・生物多様性保全の歴史を つくってきた。屋久島、釧路、十和田湖所長を経て、岩手県立大学に転じ、 定年後、現在の東京環境工科専門学校の校長に就任、現在に至る。 |
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2. | 生物多様性の主流化を阻むもの | |
・生物多様性を主流化することは、愛知目標の第一のテーマなのに、社会における 認知度が未だ十分でない。認知度は、2009年13%、2012年20%と低い。 ・温暖化の認知度は高いが、生物多様性は意味が分かり難く、生物多様性の損失の 影響が把握し難い。 |
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3. | 生物多様性とは何か | |
・地球誕生は46億年前、原始の海に生物が誕生したのが40億年前、その後、植物 が陸上に進出し(動物も)陸上生態系の成立。長い時間をかけて生命活動により 地球の大気や土壌が形成され、様々な環境の変化に対応して、絶滅と新しい種の 誕生を繰り返し、現在の生物世界が出来た。 ・「生物多様性」とは、いろいろなタイプの生態系がそれぞれの地域に形成されて いること。 「種の多様性」とは、いろいろな動物・植物や菌類、バクテリア等が生息して いること。 「遺伝子の多様性」とは、同じ種であっても、個体や個体群の間に遺伝子レベル で違いがあること。 生物多様性の理解を進めるために、「生物多様性」を「つながり」と「個性」と 言い換える。 |
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4. | 「生物多様性」の内在的価値/固有の価値 | |
・生物多様性の意味(価値)を説明する「命と暮らしを支える生物多様性」では、 「生態系サービス」として、人間にとって何らかの「役に立つ(奉仕する)」 面ばかりが取り上げられ、内在的(固有の)な価値が見過ごされ、「生物 多様性」そのものの意味がある、というメッセージを発しきれないでいる。 ・世界の既知の生物 全世界の生物:175万種、哺乳類:6000種、 鳥類:9000種、昆虫:95万種、維管束植物:27万種、 未記載種も含めた総種類数は3000万種! ・生態系、種、遺伝子の生物多様性損失により、広範な生態系サービスの低下が 生ずる危険性大。 ・我々の存在自体を脅かされないためには、どの程度の生物多様性があれば十分 なのかは、明確な回答は存在しないが、我々がどのような世界に住みたいかが ポイントである。 ・一つの答えとして、ディープエコロジーがあり、環境問題は既に技術的対応を 超えたものとして認識し、今日の環境問題、社会問題の「根源」に目を向ける べきという。 そこでは、すべての生命に固有の価値(内在的価値)があり、人間にとっての 有用性とは無関係なものである。 自然界への人間の介入は過剰で、他の生物にもまして、人間の地球に対する 責任は重い!! | ||
5. | 今なぜ「都市の生物多様性戦略なのか?」 | |
・人間活動により地球の生物多様性が危機に! 都市はますます肥大化し、危機は増している。 都市も一つの生態系として捉えることが大切である! 里地・里山・里海等中間地域の大切さ。 都市生物相の検討、エコロジカルネットワークの構想、エコトーンの重視 が必要である。 |
【 所 感 】: | 日本の環境行政・自然保護・生物多様性保全の創始段階から、 トップリーダーとして活躍し続けてきた講師の貴重な講演を聞くことができた。 まだまだ、生物多様性の認知度は低いが、その重要性はますます高まっている。 自然豊かな生物多様性立国を祈念して。 |
( 文責 中瀬勝義 (60回) ) |