新年会のハイライトとして、独立行政法人・防災科学技術研究所・理事長の岡田義光さん(60回)が、現在、国民的関心の高い 「 東日本大震災の実像と首都圏直下地震 」 と題し、講演を行いました。
「 事前に全く予知できなかった 1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)を契機に、地震研究が 予知から調査研究に重点を置くようになり、現在、全国2000か所近い 観測点で地震の観測を行っていること、その過程で、ゆっくりすべる 深部低周波微動という 地球科学における世界的発見をしたこと、気象庁の一元化震源情報に対する貢献度は 防災科研が6割を占めること、緊急地震速報は 防災科研と気象庁が共同開発したもので 防災科研がその観測を支えていること 」 を説明しました。
次いで、「 2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)に移り、 マグニチュード(M)9.0 の地震は 過去100年で 世界第4位の巨大地震だったこと、869年の貞観地震(M8.3)と 1896年の 三陸地震津波(M8.25)を合わせた位の とてつもない大地震だったこと、M5以上の余震も 格段に多かったことなど 」 を報告しました。
さらに 「 巨大地震の誘発現象として、M8級の海溝型地震は なお警戒が必要であり、特に東北地方太平洋沖地震の震源地の北隣・南隣が要警戒地域で、 私が今一番気にしているのは 南隣の 「 房総半島沖 」だ。 」 と述べました。
防災科研では現在、ケーブル式海底地震津波観測網を 日本海溝沿いの 150観測点に整備中で、今年6〜7月に 房総沖25地点 および青森沖25地点に 配置が完了するとのことです。
首都圏直下地震については、「 国の中央防災会議が、プレート境界型の 東京湾北部地震(M7.3)が起こった場合、死者1万1000人、建物倒壊85万棟、経済被害は直接被害だけで66.6兆円、間接被害を含めると100兆円を超す との想定を発表しています。 一方で、国の地震調査研究推進本部が、M7級の南関東直下の やや深い地震が今後30年以内に70%の確率で発生すると予測しています。
この2つの地震が 混同され、巨大な被害をもたらす 東京湾北部地震が30年以内に70%の確率で起こると誤解されている 」 と力説しました。
最後に、「 何より大切なのは "地震への備えで"、寝室に背の高い家具を置かないこと、 置く場合は "しっかり固定すること"、"老朽家屋は耐震補強をすること"など 」 を強調、"耐震補強の有無による建物・家具等の 倒壊状況を動画で紹介"して、"大地震への備えを訴えました。"