金 田 校 長 - 御 寄 稿
【 淡交会 会報85号より 転載 】       最終更新日: 20120/12/15   
新しい生活様式での教育 校長 金田 裕治
 令和二年の新しい年を迎
えた頃から、新型コロナウ
イルスの脅威が静かに迫っ
てきました。
 三月の卒業式は、保護者
や来賓の参列がなく、卒業
生のみで挙行することにな
り、在校生の授業も臨時休
業の措置をとらなければな
らない状況となりました。











 三月の臨時休業明けの令
和二年度始業式後から再び
臨時休業となりました。四
月七日に予定した入学式は
中止となり、新型コロナウ
イルス感染者の増加に伴い
両国高校新一年生と附属中
学校新一年生は、新しい友
人とのクラス作りもできな
い状況が、二ヶ月間続くこ
ととなりました。
 二ヶ月間の臨時休業中で
も、生徒の学びを止めない
よう学年ごとに課題の連絡
をホームページや学校教育
をサポートするグラウドサー
ビスを通じて連絡すること
で学習指導を継続してきま
した。この頃から、文部科
学省は、感染症対策と子供
たちの健やかな学びの保障
の両立を目指し「学びの保
障」を提言しています。





 「学びの保障」の基本的
な考えは次のとおりです。
○臨時休業中も、学びを止
 めない
○速やかに、できるところ
 から学校での学びを再開
 する
○あらゆる手段を活用し、
 学びを取り戻す
○柔軟な対応の備えにより、
 学校ならではの学びを最
 大限確保
 以上のように新型コロナ
ウイルス感染症における学
びの影響を取り戻すように
方針を示しています。







 臨時休業中、生徒の学び
を止めないよう当初は、
Web 会議(テレビ会議)
システムのZoom(ズーム)
を活用したホームルームや
面談を実施しました。その
後、オンライン授業のツー
ルとして活用が進み、一部
の授業や講習をオンライン
で始めることができました。
 また、YouTube に授業
動画を準備し、生徒が視聴
できるようにすることで家
庭学習の遅れがでないよう
工夫を行ったり、東京都か
ら学習支援サービスとして
Microsoft Teams(チー
ムズ)が全都立学校の児童・
生徒が利用できるようにI
Dが配布されオンライン授
業の準備を進めたりするこ
とができました。







 制限を受けたのは、授業
だけではなく、体育祭・文
化祭・合唱コンクールなど
の学校行事が感染症対策や
実施時期の難しさから中止
となりました。
 特に、附属中学校の特色
ある教育活動の海外語学研
修も影響を受け、当初予定
していた十月から令和三年
三月に延期することを検討
していましたが、東京都の
方針や語学研修先のアメリ
力の状況から中止せざるを
得ないと判断しました。





 これまで人類は、幾度と
なく自然災害などの危機に
直面し、乗り越えてきまし
た。東日本大震災では、被
災地の教職員が一日も早く
学校を再開し、子供たちに
日常を取り戻そうと努力を
していました。そして、五
月の連休明けには、仮設校
舎などで教育活動を再開し
ていました。
 この度の感染症対策を振
り返ると二ヶ月間の臨時休
業後から授業が再開し、生
徒の半数ずっを登校させる
「分散登校」や通勤・通学
の混雑を避けるため始業時
刻を遅らせる「時差登校」
から、通常授業にこぎつけ
られたときに、改めて日常
の大切さが分かりました。
 授業再開にあたり、淡交
会からは、感染症対策の制
限を受ける授業の中、生徒
の気持ちや校舎を明るくす
る「校内環境美化活動」に
支援をいただき、大変感謝
をしております。今後も当
たり前のように生徒が学校
に通って授業や部活動がで
きる日常に感謝するととも
に、両国の教育をより充実
させて参りたいと思います。