『 草深先生の思い出 』
印刷紙面からの「文字自動変換エラー」を お詫び致します。 (スマホ対応) 最終更新日 : 2016/06/04
津久井早智子 76回
草深先生の訃報に接し、遅くなりましたが 先生の思い出を書かせていただき
たいと思います。
先生には一年生の時に宇治拾遺物語を教えていただきました。 内容は「鬼に
瘤取らるる事」「鼻長き僧の事」しか覚えておりません。
授業以外のお話が大半で、一学期に一話ぐらいの進度だったと思います。
試験範囲が少なくて助かりました。
私か所属していた剣道部の顧問もされていて、私は一応女子高生なのに、先生
に「何だ、お前は金太郎そっくりだな!!」 と言われて、卒業するまで部活も授業
中もずっと「おい!!金太郎!!」 と呼ばれていました。 優しい友達は「似てな
いよね〜」とは言ってくれましたが…。
ある時、部活に竹刀を持って胴だけつけた状態で入って来られて、「金太郎、打っ
て来い。お前の面なんて全部払えるから」とおっしゃるので、思いきり何度も面
を打ちに行きました。 もちろん全部払われましたが、途中で一回、つばぜり合い
の時、先生の額にコツンと私の竹刀が当たったのは 痛かったのでは …… と今で
も思っています。
剣道部の女子、三人ぐらいを薪能に連れて行っていただいた事もありました。
「後をついて来れば入れるから」と言われるままついて行くと、先生が入口で
ちょっと手を上げただけで会場に入ることができました。
火の向こうに見える能は現代とは思えない幻想的な雰囲気でした。
今では私はあの頃の先生よりも年齢が上になった事に今さらながら驚いています。
先生、金太郎と呼ばれた事、嬉しかったです。 薪能は本当はちょっと眠かったです。
色々お世話になり、ありがとうございました。