淡交会 同期会 61回生 総合ページ
淡交会会報 第76号より 転載
  
  ■   ノーベル賞授賞式に 随行参加
 61期C組の中村健蔵君が、昨年十一月に執り行われた「 ノーベル物理学賞授賞式 」に 受賞者からの指名で随行参加した( 写真右から二人目 )。 両国高校卒業生 で特に理科系の者は、「中村健蔵さんに受賞して欲しかった」と、悔しい思いをしたと思ったであろう。  特に 私は、中村君と 両国高校・東大理学部を同期で卒業した( 彼は物理学科、私は化学科 ) ので、 その思いが強い。
 そのために、今回の物理学賞受賞対象の 素粒子物理学( 受賞者 梶田隆章氏、研究内容は 素粒子ニュートリノが質量を有することの証明 ) に、中村君も大きく寄与し、ノーベル賞受賞 への大きな力になったことを 紹介したいと思って、淡交会報に寄稿した次第である。
 素粒子論が芽生えたのは 百年以上昔の 明治時代終盤で 日露戦争の時期であった。  その時代に ノーベル賞財団が組織されていて、若手新進気鋭の学者が、何人も ノーベル賞を受賞していた。 三十代初めで受賞した者もいたが、アインシュタインは 四十代初めで 受賞している。
 前記時代のノーベル賞受賞者は、多くが一人で研究した成果で受賞していたが、 二十一世紀の現代では、一人だけの力 でノーベル賞を取れるケースは 皆無といってよい。  組織的研究が大切であり、梶田氏のノーベル賞対象研究も 大勢の学者・技術者による 共同研究の成果であり、お祝いも 多くの人が参加している。 中村君の学会における活動を調べてみると、 実験施設の「 カミオカンデ 」の建設にも実際の実験に関しても多大の寄与をしていることがわかる。
 物理学関係の研究誌掲載論文の他の研究者の引用数( この引用数が学者としての価値の重要な 評価尺度となる )について、中村君の論文の他の研究者による引用数はトップクラスである。  中村君はノーベル賞受賞者にはならなかったが、授賞対象分野の研究進展に大きく 寄与したことは間違いない。 府立三中・両国高校の卒業生の中で、世間に知れ渡った業績を上げた 人物というと、文学者・芸術家が多く理科系卒業生があまり目立たない。  基礎物理学分野で 中村君が業績を上げていることを、記憶していただきたい。

吉田 隆 ( F組 )  

☆ ☆  授  賞  式  記  念  写  真  ☆ ☆
☆ ☆ 授 賞 式  記 念 写 真 ☆ ☆

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