(スマホ) 最終更新日:2021/07/31 by AM  

 淡交会報第74号(2015年5月発行)の表紙インタビューで紹介したSTOL機(短距離離着陸機)について、 このほど地上走行テストが行われたので報告します。
 この飛行機の大きな特徴は、すぐれた設計技術により16mの短い滑走路があれば、飛び立てることです。
2人乗り又は4人乗りの機種を選択でき、災害救助用などで滑走路などがない場合でも、 道路などが充分なくても、砂利道でも、草原でも、僅かな空間があれば、滑走路として利用できます。
失速速度45q/時、4人乗りは、LSA(Light Sport Aircraft)の範疇から外れてしまいますが、 災害などで、ドクターヘリの代わりなどに、災害の多い日本の滑走路環境の中でも十分利用できます。
既に、1000機が全世界に販売されています。
 2機並行して製作されてきました。そのうちの1機が、3月27日山梨県の日本航空学園の滑走路をお借りして 地上走行テストを行いました。
今回のテストは、空中を飛ぶことを許可されておりません。
あくまで、地上走行テストで、飛び上がるのは次回になります。

今回のCH701は、両国高校のある同じ墨田区内の高永社長の会社、鹿本技研で発注され、 全日空の元B-777のパイロットの橋本さんの手により、長野県茅野市の工場で製作され、 今回の山梨県甲斐市で、3月27日の日本航空学園滑走路での地上走行テストに使われた次第です。
今回の組み立てを行った橋本さんは、日本で小型航空機がもっと根付き、ポピュラーになる 世界を作ろうと考えておられます。


それに我々も賛同して、これからLSAの普及活動を続けていこうと考えております。
 アメリカには、このようなLSAを普及させようという文化があります。
このCH701を制作するZenith社は、アメリカのミズリー州のメキシコという小さな町にあります。
会社は、街の真ん中に市営の空港があり、その空港に隣接して工場があります。
20年前に、この飛行機を購入した時、運輸省に、将来組み立てて飛ばせるようにするには どのようなことに気をつけて組み立てるかを聞きに行きましたが、その時聞いた話では、 日本では、数えるほどしか この種の飛行機は飛んではいない。米国では、既に、 当時1万機を超える飛行機が飛んでいると聞きました。20年前に1万機ですから、今では、 2万機前後の飛行機が、アメリカの空を飛び回っているのではないかと思います。
 日本でも、このような小型飛行機が普及することで、関連産業が盛んになり、仕事が増えて、 新しい知恵を持つ社会に発達していきます。
この飛行機は、16mもあれば離陸できますが、我々の知恵を使えば、10mの距離で離着陸できる、 墜落しない飛行機ができる可能性もあります。
実際に、どのような飛行機かを学生の皆様にも、墨田区の鹿本技研でご覧になってください。 高永社長も来社を歓迎されています。

 小林 博昭(59回) 記     
(淡交会報第86号より 転載)    

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