【 淡交会 会報88号 インタビュー記事 紹介 】     最終更新日: 2022/05/22  
――ユーザベースに人社した
経緯は?
「職務経歴書を採用媒体に出
しておいたらスカウトされ、
技術試験と面接を経て採用さ
れました。エンジニアの自主
性を尊重する開発文化が根付
いていて、やりがいのある会
社です」
――この会社を選んだ理由を
聞かせてください。
「自分の能力を生かすという
よりは、新しい技術に積極的
に取り組んでいる環境で、自
分自身が技術者として成長し
たいと思いました。それまで
の会社ではJava(ジャバ)
という広く普及したプログラ
ミング言語で仕事をしていま
したが、現在はKubern
etes(クバネティス)な
どの最新技術に触れる機会も
あります」
――ユーザベースはどんな会
社ですか?
「企業活動の意思決定を支え
る情報インフラの提供を行う
情報・通信会社で、艮体的に
は企業向け経済情報プラット
フォームのSPEEDA、B
2B剌業向け噸客戦略ブラ″
トフォームのFORCAS、
ソーシャル経済メディアのN
ews Picks など 全9事
業を運営しています。200
8年創業で本社は港区六本木
にあります」
――SPEEDAについて教
えてください。
「SPEEDAは金融機関や
事業会社向けに世界中の企業
データ、業界レポート、市場
データ、M&A、専門家の知
見など、戦略策定や市場分析
に必要な情報を提供します」
――FORCASとは?
「独自の企業データベースと
顧客データを統合・分析し、
より精度の高い営業戦略やA
BM(アカウントペースドマー
ケティング)の実行をサポー
トします」
――横山さんの担当業務は?
「ソフトウェアエンジニアと
して、自社のサービスである
SPEEDAやFORCAS
Salesの各種機能の開発を
担当しており、基本的にはプロ
グラミングに携わっています。
四半期ごと、つまり3か月の
短いサイクルで新しい機能を
開発し、お客様に提供します」
――ベアプログラミングを積
極的に実施していることが特
徴とのことですが。
「基本的にすべての業務は必
ず2人ペアになって行います。
ソフトウェアは内部構造が整
然と作られていないと、後で
仕様を変史したり機能を追加
する時に片労します。同じお
もちゃでも毛糸細工とLEG
Oブロックでは、後者の方が
手を加えやすいでしょう。ソ
フトウェアにも同じことが言
えます。常に改修しやすさを
意識し、2人で議論し合い、
ベストな設計を目指してプロ
グラミングします」
――仕事の楽しさは?
「開発案件ごとに3〜5人の
チームを構成し、チーム内で
ベアを変えながら 作業しま
☆ ☆ インタビューに答える 横山さん ☆ ☆

≪ ☆ インタビューに答える 横山さん ☆ ≫
す。皆で話し介いながら新し
い機能を開発するのが楽しい
です。自分一人では分からな
かった技術的なことを知るこ
とが出来、勉強になります」
――辛いこと、苦しいことは
ありますか?
「作業かうまく進まない時や
設計ミスで手戻りが生じた時
は苦しいですね。コミュニケー
ションかうまく行かず、関係
者間の認識が揃わない状況も
辛く感じます」
――コロナ禍でリモート勤務
が増えていますか?
「今はフルリモードで、会社
にはほとんど行きません」
――勤務時間の制約がなく、
服装も自由とのことですが。
「社員皆が高い生産性を発揮
する目的で、会社としてはフ
レックスタイム制を採用して
います。しかし、常にチーム
で行動する私たちの場合は、
皆が同じ時間に仕事を始め同
じ時間に終えた方が良いので、
始業・終業の時間はチームご
とに話し介って決めています。
オフィスでは、1台のパソコ
ンに2つのキーボードを繋い
で作業していましたが、リモー
ト勤務ではビデオチャットで
会話しっつ、お互いの画面を
見せながら作業しています。
服装は自由で、ネクタイをし
たことはありません」
――マネージャーやリーダー
かいないと聞きましたが。
「組織上CTO(チーフーテ
クノロジー・オフィサー)は
いますが、チーム内にリーダー
はいません。メンバー全員が
『自分自身がリーダーである』
という意識を持ち、一人一人
が自ら考え行動する体制です」
――これからの目標は?
「ソフトウェアを閧発してい
く中で、自らのスキルを仲ば
し成長していきたいと思って
います」
――ところで、両国高に進学
したのはなぜですか?
「都立の進学校を何校か学校
見学した中で、落ち着いた真
面目な校風を気に入って受験
しました。家族から学校は自
宅から近い方が良いと勧めら
れたのも決め手でした」
――高校で部活は何を?
「社会科研究部(SSC=ソー
シャルースタディーズークラ
ブ)で週1回、顧問の堀井
(弘一郎)先生と最新の時事
ニュースを題材に勉強し、皆
で話すのか楽しかったです」
――好きだった学科は?
「英語が得意で好きでした。
中学校で英検2級を取ったお
かげで、日々の予習にはあま
り苦労しませんでした」
――パソコンのスキルはいつ
磨いたのですか?
「プログラミング自体は、自
宅のパソコンで小学5、6年
頃からかじっていました。当
時流行っていた佃人ホームペー
ジを作るために、HTML
(ハイパーテキストーマーク
アップーラングージ)という
技術を学ぶことから始めまし
た。それからインターネット
の情報をもとに独学でVis
ual Basic( ビジュ
アル・ベーシック)というプ
ログラミング言語の基礎を身
に着けました」
――プログラミングはその後
も続けたのですか?
「ある程度大きな規模のプロ
グラムを作る際に必要なオブ
ジェクト指向という概念の理
解が難しく、自分には向いて
いないと思って一度挫折しま
した」
――本格的に再開したのはい
つですか?
「大学時代です。公務員にな
ろうと法学部に入ったわけで
すが、当時は就職が大変な時
期でした。そこで、もし失敗
したら少し知識があるITの
分野に就職しようと考えて、
独学を再開。Java(ジャ
バ)やRuby(ルビー)と
いうプログラミング言語を学
ぶ中で、オブジェクト指向の
考え方が理解できるようにな
りました。そしてプログラミ
ングがやはり好きだと自覚し、
システムエンジニアとして就
職することを決めました」
――ITは理数系でなくても
大丈人ですか?
「理数系の知識はあった方が
良いですか、求められる深さ
はITの領域によります。例
えば、コンピューターの性能
を限界まで引き出す場合は深
い知識か必要です。とはいえ、
スマホやパソコン向けのソフ
トウェア開発では生産性を高
めるために、すでに主要なア
ルゴリズムなどの部品が用意
されたプログラミング言語を
使います。そのため、部品の
特徴を理解し、要件に合った
ものを選べれば大抵の場合は
大丈夫です。領域を問わず重
要なのは、変更しやすい内部
構造を維持するために、具体
的な処理を意味のある単位に
分割する能力です。したがっ
て物事を抽象的に捉える力や、
論理的思考か必要です。文科
系出身でもこれらは身に着け
られると思います」
――両国高で学んで良かった
ですか?
「良かったです。勉強だけで
なく、あらゆる面で向上心の
ある友だちか大勢いました。
自らを収り巻く環境に適応し
つつ、意志を持って自らの道
を切り開いていく心構えは、
校訓の『自律自修』に通じる
と思います」
――後輩に一言。
「勉強していい大学に行こう
と励む中でも、ぜひ自分が好
きなことを忘れずにいてほし
いです。日々の仕事を好きな
ことに結び付けられれば、努
力も苦になりません」
(3月5日、亀戸のアンフェ
リシオンで)(宇田川)
   ◇  ◇  ◇
よこやま・だいち 1991
年9月、東京都板橋K生まれ、
30歳。
 中央区立有馬小、佃中を経
て2007年4月、両国高校
に入学、10年3月に卒業。同
年4月、明治大学法学部に入
学し、14年3月に卒業した。
 同年4月、中小ソフトウェ
ア企業に入社し、システムエ
ンジニアとして商社向け物流
システムの保守開発を担当。
16年5月、パッケージソフト
ウェア企業に移り、ソフトウェ
アエンジニアとして自社製品
のデータ連携ミドルウェアを
開発した。
 19年9月、株式公社ユーザ
ベースに入社し、ソフトウェ
アエンジニアとしてSPEE
DA、FORCAS Sal
esの各種機能の開発を担当
している。