【 淡交会 会報87号 より 転載 】 [Control キー] と [F5 キー] を 押して、見て下さい。 最終更新日: 2021/12/25 |
2021年10月22日、政府 は、第六次エネルギー基本計 画と地球温吸化対策計画の改 定とをを閣議決定したと報じら れました。そのうち、エネル ギー基本計画に含まれる「2 030年の電源構成」は我が 国の産業構造の在り方をも左 右する重要な決定であり、注 目されています。 2021年7月に政府が公 表し、パブリックコメントに 付された「エネルギー基本計 画改訂素案」(以下、「素案」 |
という)には大きな問題か内 在しており、環境団体や市民 から多くのパブコメがよせら れたと聞いていますが、今回 閣議決定されたエネルギー基 本計画の内容は、「素案」と ほとんど変わるところはなく、 課題は内包されたままとの印 象を強く持ちます。 本稿では、「第六次エネル ギー基本計画」の概要と問題 点について述べます。 ☆第6次エネルギー基本計画 の概要 |
「素案」は以下の通 りで、今回、閣議決定 した「2030年電源 構成」は「素案」その ものでした。 @2020年10月に 衣明された「2050 年カーボンニュートラ ル宣言」の目標達成の ため、温室効果ガス排 出量を2030年まで に2013年比46%削 減、さらに50%の高み を目指して挑戦し続け る。 |
A再エネの拡人については、 現行の20〜24%から36〜38% に引き上げる。 B原発の比率は20〜22%を 維持する。 C石炭火力発電は19%を維 持する。 ☆「素案」に対する批判的 コメントは反映されず 「素案」に対しては、環境 団体などから、世界の趨勢か らかけ離れている等の厳しい コメントが寄せられましたが、 今回の「エネルギー基本計画」 の電源構成には全く反映され ませんでした。 (コメント例) @再生可能エネルギーの構 成比は欧州各国、米国各州が 掲げる50〜70%の2030年 目標に比べて依然として低水 凖にとどまる。 A再エネ優先接続などの電 力システム改革の進展はほと んど見られていない。 B原子力発電の割合は20〜 22%に据え殴かれたが、現状 では再稼働した原子炉は10基 (約6%)にとどまり、拡大 の実現性が乏しいことは周知 であり、根拠のない原子力発 電の高い目標を設定すること は、原発依存度を可能な限り 低下させるという前提に全く 反している。 C石炭火力発電は2030 |
年でも19%を維持するとして 利用継続を明確にしており、 2030年までにフェーズア ウトを求められていることか ら大きく乖離している。 なお、上記A電力システム 改革については、今回の基本 計画において政策対応が述べ られているが、改めて取り組 む、検討する等の言葉の羅列 であり、実効性については今 後注日したいと思います。 ☆10月31日から英国グラス ゴーで開かれたCOP26に出 席した岸田首相が演説し、上 記の「エネルギー基本計画」 と「パリ協定に基づく長期戦 略(2030年度温室効米ガ ス46%削減目標)」について 述べました。この中で、石炭 火力の継続を表明したことか ら、国際NGO「気候行動ネ ットワーク」が11月2日、地 球温暖化対策に後ろ向きな国 に贈る「化石賞」第2位に選 んだと報道されました。案の 定、世界の潮流から乖離して いる現状を知らされました。 (参考文献) @ 経済産業省ホームページ A 自然エネルギー財団ホー ムページ B 気候ネットワークホ‐ム ページ 環境委員 中村 晴永(55回) |