名古屋市において、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催されてから、
10年が経過した2020年、オリ・パラと新型コロナが注目を浴びた年でしたが、
COP10で合意された愛知目標の短期目標年でもありました。
短期目標とは、「生物多様性の損失を止めるために、効果的かつ緊急な行動を実施する」ことで、
COP6(2002年・ハーグ)での「締約国は、現在の生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させる」
という、2010年目標の失敗を受けて示されたものでした。
報道でもほとんど取り上げられることはありませんでしたが、これも未達成に終わりました。
2015年の国連サミットでは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、
地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓い、2030年までに、持続可能でよりよい世界を目指す
国際目標(SDGs)が記載されました。
自然観察会やビオトープの保全活動を通じて、40年近く都会の自然と関わってきた中で、
子どもたちの自然離れや実体験不足が、非常に深刻であると感じています。
都市の数少ない緑地は、外来種や栽培種が溢れ、路傍の在来種さえ見る機会がほとんどありません。
都市環境で育ち、野外体験も少ない子どもたちが、これからの深刻さを増す気候変動や
生物多様性の課題に立ち向かう主役となります。SDGsでも、経済活動と直結した分野では、
資金投入や具体的な取組みが先行するかもしれません。
しかし、地域の生物多様性に関わる分野では、子どもたちと向き合う大切な仕事
であるにもかかわらず、社会からは、その多くをボランティア活動として捉えられ、
活動予算も限られる中で、継続性すら担保できないのが現状です。
コロナ禍で、仕事や授業の多くがリモートとなりました。
講演会などのイベントもオンラインによって、全国どこからでも参加することができます。
子供の頃、NHK教育に「みんなの科学」という帯番組が放映されていました。毎日、第一線で
活躍される先生方のお話や部活による実験など興味深いものばかりでした。
今では、ネット検索で簡単に得られる情報もありますが、先生本人が語りかけるような番組が
是非ともほしいと感じています。
淡交会には、経験豊富な卒業生が数多くおられます。
毎号の淡交会紙上だけでなく、様々な科学分野で活躍されている会員により、
全国の青少年に情報を発信できないだろうか、SDGsの17の目標達成に向けて。
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