(スマホ)  作成日:2022/02/11 by AM   
  

【雨は天の恵み】
 雨は野山に降り、大地にしみこみ、地下水をつくり、湧き水になり、池や川をつくり、 海へ流れこみます。雨は、大地と海と空との間を循環しながら生命を育んでいます。
世界各地には、雨にまつわる行事・文化がたくさんあります。
 地球上の水の約97.4%が海水、2%強が北極・南極の氷や氷河や万年雪、使える可能性のある真水は、 0.6%です。この真水のほとんどが地下水で、湖や川の水は0.01%ぐらいしかないのです。
日本には、1年間に約1800mmの雨が降ります。世界平均の2倍近い量ですが、1人当たりの雨量は、 世界平均の5分の1しかありません。
日本は、水が余っている国ではないのです。雨は天の恵み、大切な資源なのです。
 東京で使われる水道水は、約20億トンですが、東京に降る雨は、1年間に20数億トン、 小河内ダム12個分です。こんなにたくさんの雨水を、活用せずにほとんどを下水道や 川に流してしまうのです。もったいない話です。
 世界では、11億人もの人たちが、安全な飲み水を確保できていません。国連の予測によると、 2025年には、水不足で苦しむ世界人口の割合は3分の2だそうです。
また、気候変動の影響による大洪水や大渇水と、人口増加とがあいまって 食の危機を引き起こしつつあります。
雨水利用が、世界の水危機の打開、水戦争の回避につながると思います。  

【世界各地での雨水利用】
 タイ、中国、ケニア、夕ンザニアでも雨水利用が始まっています。
バングラデシュでは、全土の約90%が塩害やヒ素で汚染されています。ヒ素の入った水を 長期間にわたって飲み続け、皮膚に色素が沈着、角質化し、最悪の場合がんになった との報告がされています。
 オーストラリアのタスマニア島では、雨水牧場があり、その水を販売していますし、 カンタス航空のドリンクサービスにも提供しています。
韓国では、ワールドカップサッカー場が、600トンもの雨水タンクを備え、 その水を有効利用しています。
 墨田区では、国技館(1000トン)・墨田区役所(1000トン)・江戸東京博物館(2500トン)など、 1983年の外手児童館から雨水利用に取り組んでいます。
2000年には、ドイツで国際環境自治体協議会から、「国際自治体環境賞」を受賞し、 墨田区と市民団体の取り組みが世界で認められました。
2012年開業の東京スカイツリーでは2600トンの貯雨夕ンクが備えられます。  

【やってみよう!・雨水利用】
 雨水をためると…
<洪水対策>
地面が舗装された都市では、降った雨が下水道に一拳に押し寄せ、排水能力を越えてしまい 都市型洪水が発生しています。
雨水を貯水すると水の流出を抑制し、都市型洪水を軽減できます。
<環境対策>
地下に浸透させ地下水を涵養することで、緑豊かな潤いのあるまちになります。
ヒートアイランド抑制。
<渇水対策><震災対策>
水道水が止まっても、生活用水、防災用水を確保できます。
<経済対策>
墨田区役所では、トイレ洗浄水の80%をまかなっています。
塩素が入っていない雨水は、植木散水に最適。打ち水、洗車や清掃にも使えます。 雨は流せば洪水、溜めれば資源です。
地球を守るためにも、みんなで雨水利用をしましょう。

NPO法人雨水市民の会事務局長 雨水探検隊隊長 伊藤 林(62回)
   (淡交会報第67号より転載)

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