(スマホ)  作成日:2022/02/09 by AM   
  

 地球温暖化問題に対する小泉淡交会会長の強い指導力によって、平成21年1月に設置された環境委員会は、 地球温暖化問題に対して、淡交会として何かできるのかを模索してきました。
手始めに、母校の「両国祭」での「地球温暖化の防止は待ったなし」と題する展示に続き、 私たちの考えをこの会報にシリーズで掲載し、淡交会会員の皆様に地球温暖化問題への関心を深め、 行動を起こすことを訴求して参ります。
 今回は、地球温暖化の現状と国レベルでの温暖化防止の取り組み状況をご紹介し、 私たちに出来る温暖化防止対策を提案します。

1.温暖化ガス排出削減に関する国際公約
 鳩山首相は、我が国における温暖化ガスの排出を、2020年までに1990年比で25%削減する ことを目標にすると、去る9月22日の国連気候変動首脳会議で公約し、大きな反響を呼びました。
これは、国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の、地球の平均気温をせめて2℃の 上昇に抑えるため、温暖化ガスの排出を2020年までの中期目標では、先進国で25〜40%減らす必要がある との提言、及び7月にイタリアのラクイラで開催されたG8サミットでの、最低でも2℃の上昇に抑える必要がある との合意を踏まえたものです。
この時期の宣言は、1997年の京都議定書策定の際、削減目標の設定で受け身に立たされた反省に立って、 国際世論をリードする狙いがあったものと考えられます。これに対する国際的な歓迎の論調や 我が国の各界の反応は報道されている通りですが、温暖化ガスの排出を抑制して行く社会(低炭素社会) を想定して、生活の便利さ豊かさを少し我慢し、負担すべきコストも負担して地球温暖化の進行を多少でも緩和し、 かけがえのない地球を健康体のまま後世代に引き継ぐこと、これがこの問題を考える原点であり、 各界の指導者は、この原点を見失わないようにしてほしいと考えます。

2.気温の上昇がもたらす様々な影響
 地球の平均気温上昇による影響は、様々の側面で顕在化しています。
アメリカ合衆国のゴア元副大統領の「不都合な真実」にも描かれたように、地球規模での積雪や氷河の融解、 北極海氷の縮小、南極の氷床の崩壊、海面上昇、生態系の異変、巨大ハリケーンや干ばつなどの異常気象 などは地球温暖化の影響とされています。
 ラクイラサミットで合意された2℃上昇でも、科学論文の予測によれば、その影響は凄まじいものがあり (英国スターン・レビュー)、2℃では高すぎると指摘されています。

  1. 多くの地域で食料の収穫が減り、飢饉にさらされる人が増える
  2. 世界的に山岳氷河がなくなり、地域によっては水不足が深刻になる。
    海面上昇によって、水没の危機にさらされる島が出てくる
  3. 生態系では、渡り鳥が元に戻れないなどのダメージを受ける。
    大多数の生態系は、現在の状況を保てなくなる
  4. 森林火災、干ばつ、洪水、熱波など、異常気象が頻発する

3.私たちにできる温暖化対策
 私たちにできる温暖化対策は、上記のような温暖化の状況や国や各界の動向に目を光らせ、 具体的な行動を起こすことです。
具体的には、日常生活で購入する商品・サービスやそれらの供給者である企業の環境配慮度合いを 賢い消費者の目線で見極め、選別し、迂遠なようでも選挙などを通じて、政治的にも意思表示をする ことではないでしょうか。
 一方、家庭ですぐにでもできる温暖化対策もあります。
一例をあげると、次のとおりであり、これらを1年間継続すると1家族当たり、温暖化ガス400s、 家計23,000円の節約につながるという試算があります。(JCCCA全国地球温暖化活動推進センター)

  1. 冷房の温度を1℃高く、暖房の温度を1℃低く設定
  2. 長時間使わないコンセントを抜き、待機電力を50%削減
  3. シャワーを1日1分、家族全員が減らす
  4. 家族が、同じ部屋で団らんし、暖房と照明を2割減らす
 皆様、今日、ただ今から行動を起こそうではありませんか。

 淡交会環境委員長 NPO法人環境経営学会理事 中村晴永(55回)
   (淡交会報第63号より転載)

 委員会報告、セミナー報告の索引は、こちら