我が母校が生んだ三人の偉大な文芸家、芥川龍之介・堀辰雄・立原道造 については、 過去三人展と個別に芥川、立原の展示を行ってきましたが、今回堀辰雄を単独で取り 上げることにより、このシリーズが完結することになりました。 芥川(7回生) 堀(19回生) 立原(29回生) と続きますが、芥川と堀は干支で一回り 違う 同じ辰年生まれ、立原はその10年後の生まれという巡り合せから 互いに師弟 関係を結んでいました。 堀辰雄の芥川に対する尊敬の念は厚く、彼の自死に衝撃を 受け、卒論のテーマにすると共にその後の作品にも大きな影響を与えました。 また、堀の作品には芥川や立原と思しき人物が屡々登場します。 この三人は同窓の 誼を通じて堅く結びついていたことが分かります。
不動のものとしました。 この作品は、最近 宮崎駿の同名のアニメ映画によって改め て関心を呼んだようです。 今回の来場者数の多さに関係しているかも知れません。 我々の展示で 何処までこの作家の真髄に迫れたか、評価は見学者に委ねるほかありま せんが、我々 資料室委員が半年かけて精一杯努力し、出来るだけビジュアルな展示を 心がけました。 資料の収集や作品の読み込みを通して 最後はスタッフ全員いっぱし の 堀辰雄通を 自負するまでになり、見学者に対しても 自信をもって説明できるよう になりました。
ご協力頂いたアンケートを見ると、回答者のうち 保護者と小学生の合計が70%近く に達しており、これは明らかに中学受験を考えている親子と想定されます。回答者数 の比率から逆算すると約490名と 推定されます。 尚、この回答者層は 堀辰雄に ついては殆どの方が 知らなかったということでしたが、全体を通して見ると知って いたと回答した方も多く、読んだ作品はやはり 「風立ちぬ」 が圧倒的多数でした。 一方残念なことは、今年も卒業生の来場者が極めて少なかったことで、卒業生の来 場者を 増やすための工夫が 今後の課題と感じました。 今年も成功裡に終了することが出来ましたのは、偏に資料室委員はもとより淡交会 事務局の絶大なるご支援ご協力の賜物と深く感謝致します。 淡交会資料室委員長 戸張誠之助(54回) |